金属が腐食するメカニズムと銅ならではの特徴
こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社の代表の畑です。
今年の秋、全国的に猛威をふるった台風24号。強風で巻き上げられた海水が雨水とともに降り注ぎ、内陸部の植物を枯らす「塩害」が問題になりました。塩害といえば、沿岸部で潮風に吹かれた金属が錆びる現象がよく知られていますが、金属が錆びるメカニズムや予防策について知識のある人は少ないのではないでしょうか?
今回は金属の腐食の原因や予防のポイント、鉄と比較した際の銅の特徴などについてご紹介したいと思います。
腐食とは?
金属の表面に付着する錆(さび)のように、化学的な作用によって物体の外見や機能が損なわれることを腐食といいます。湿気や雨、潮風などのある場所では、化学反応によって金属の外見や内部が腐食していき、最終的には素手で壊せるほどもろくなってしまうこともあります。
腐食のメカニズム(鉄の場合)
鉄に水がかかると、鉄の原子を移動している自由電子(e-)が奪われ、プラスの鉄イオンに変化します。この鉄イオンは電子を引き寄せ、酸素原子や水素原子と結合します。やがて水が乾くと、水を構成している水素原子と酸素原子が蒸発し、酸化鉄が「錆」として表面に残るのです。
腐食をもたらす3つの原因
金属の持つ自由電子
金属の持つ自由電子が水や酸と結びつきやすい環境では、腐食が起きやすくなります。
金属表面や内部の傷
金属を加工する際、内部に傷などが入ると、原子の結合が弱まって腐食が始まりやすくなります。また、金属の表面に傷などがあっても、そこから水や酸が侵入して腐食のきっかけになります。
異種金属同士の接触
異なる種類の金属がぴったりと接触している状態では、「濃淡電池作用」によって電子が移動し腐食を進行させます。
代表的な金属「鉄」と比較した際の「銅」の特徴
銅は表面の錆によって不動態化されるため、鉄より耐食性に優れる金属として評価されています。不動態化とは、皮膜を作って内部の金属を腐食から保護する作用のこと。銅の錆は保護皮膜の役割を果たしており、美観を保つためにこの錆を除去する場合は保護皮膜を失うことになるため、耐久性や強度に問題が発生する場合もあります。
腐食を予防する方法
防食被膜の形成
防腐の方法として最も一般的なのが、腐食を防ぐ皮膜を人工的に金属の表面に作る方法です。錆止めの塗料や、金属の表面に薄い金属の膜をかぶせる「メッキ」がこれにあたります。
耐食材料の使用
銅、クロム、ニッケルなどの比較的腐食しにくい材料を金属に混ぜ合わせれば、元の金属よりも耐食性を高めることができます。しかし、この方法は費用が高くなりがちで、確かな技術力がなければかえって金属の強度を下げてしまうというリスクもあります。
電気防食
電気防食は水中などの腐食しやすい環境で使われている金属に、常に電気を流しておく方法です。電流の作用で金属の電位を変化させ、防食を図ります。海中に建っている橋脚などには電気防食が使われています。
まとめ
今回は、勤続が腐食するメカニズムや予防策、鉄と比較した銅の耐食性について、簡単にですがご説明しました。
銅は熱や電気を通しやすいという特徴がありますが、構造用材料としては「軟らかすぎる」という面もあります。銅に亜鉛を添加した黄銅、すずを添加した青銅、ニッケルを添加した白銅などの「銅合金」なら、十分な強度があるのでさまざまな分野に用いることができるでしょう。
「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社では、製品の仕上げとしてメッキ加工もご提供しております。メッキ処理は金属の腐食を防止するだけでなく、装飾を施したり、機能性を高めたりする役割もあります。まずはお気軽にご相談ください。