材質別に熱伝導率を比較すると見えてくる銅の「コスパ」

材質別に熱伝導率を比較すると見えてくる銅の「コスパ」

こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。

金属にはいくつもの種類がありますが、そのなかで特にコスパが良い金属は何かご存知でしょうか?正解(というか私の見解)は、10円玉に使われるなど普段から接することが多い銅です。

「……でしょうね」などと思った方もいるかもしれません。あるいは、銅のコスパを計るにはどのような点に注目したらいいか、気になったという方もいるでしょう。そこで今回は、銅をはじめとする金属のコスパを計るうえで重要となる「熱伝導率」についてご紹介するとともに、各金属の熱伝導率や建値についても解説していきます。

 

熱伝導率が高い金属って何?

金属には、加熱によって「曲げる」「折る」などの加工のほか、加熱と冷却を繰り返すことで性質を向上させる「熱処理」という加工法があります。こうした金属加工をスムーズに進めていくうえで、「どれだけ熱が全体に素早く伝わっていくか」を示す熱伝導率はとても重要なポイントになります。ではさっそく、各金属の熱伝導率を比較してみましょう。

金属 熱伝導率(W/m K)
ダイヤモンド 1000~2000
420
398
320
アルミニウム 236
真鍮 106
90.9
ステンレス 84

表を見ると分かるように、金属のなかでもっとも熱伝導率に優れているのはダイヤモンドです。続いて銀・銅・金などの知名度が高い金属が続き、もっとも伝導率が低いのは耐熱性の高さが特徴のステンレスとなっています。

これだけを見ると、「もっともコスパが良いのはダイヤモンドなのでは?」と思うかもしれません。しかし、ダイヤモンドには「価格が非常に高価」というデメリットがあります。のちに触れますが、これは金も同じ。その点、銅はただ熱伝導率が高いだけでなく、価格が手頃という長所も備えているのが大きな強みです。

 

主要地金建値を見ると、銅のコスパは一目瞭然

銅が金属のなかでも安価であることは、金属建値を見れば分かります。ここでは、現在の主な金属の建値を見ていきましょう。

金属 建値 単位
5,204,000 円/kg
61,000 円/kg
白銀 3,311,000 円/kg
パラジウム 6,774,000 円/kg
705 円/kg
スズ(国際基準) 3,240 円/kg
スズ(市中) 2,045 円/kg
亜鉛 299.8 円/kg

表を見てみると、熱伝導率が高かった金属の中では金の建値の高さ(1 kgあたり5,204,000円)がよく分かります。一方で銅は1kgあたり705円と、非常に求めやすい建値になっているのが特徴です。このことからも、銅はコスパの良さが卓越している金属だと言えるでしょう。

 

合金によっても熱伝導率は異なる

熱伝導率や建値の観点から、銅のコスパの良さについて説明してきました。しかし、同じ銅でも合金になると熱伝導率が変わってくるため注意しなければなりません。以下では、銅合金のなかでも代表的な「無酸素銅」「タフピッチ銅」「りん脱酸銅」の熱伝導率についてご紹介していきます。

金属 熱伝導率(W/m K)
無酸素銅 391
タフピッチ銅 391
りん脱酸銅 339

3つの材質はいずれも銅合金であり、銅以外の物質が混ざっているのもあってか、純粋な銅より熱伝導率は低くなっています。特に「りん脱酸銅」は銅より金に近い熱伝導率となっているため、金属加工の際は覚えておく必要があるでしょう。もしも熱伝導率の高さを求めて銅を使用したいのであれば、銅合金ではなく純粋な銅を選択するのがおすすめです。

 

まとめ

今回は、各金属の熱伝導率や建値について触れ、銅がコスパに優れた金属であるとご紹介しました。もしもそんな銅の加工を依頼したいと考えているようなら、「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社まで、一度ご連絡いただければと思います。

畑鉄工ではNC工作機械をはじめとする最新鋭の機器を熟練の職人たちが使用することで、高品質・高精度な加工を実現。また、マシニング・プレス・フライス加工・ロウ付け・メッキ加工・絶縁加工などさまざまな加工方法に対応できます。どんな依頼でもお気軽にご相談ください。

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