銅加工前に知っておくべき!さまざまな銅の種類を詳しく解説
こんにちは、「銅加工.com」を運営する株式会社ハタメタルワークス、代表の畑です。
銅をはじめとした金属加工を業者に依頼する際、「銅にはどんな種類があるの?」「ベストな加工方法は何?」と考える方も多いでしょう。銅加工の専門家でなければ、銅に関する知識を十分に備えていないのは致し方ないことです。ただし、銅の種類をしっかり把握しておけば、銅加工の依頼をスムーズに進められるかもしれません。
そこで今回は、銅の種類を紹介するとともに、それぞれのタイプを詳しく解説していきます。
銅の種類には何があるの?
銅は金属の中でも、多くの種類が存在することで知られています。それぞれで特徴は異なるため、加工を依頼する際には適した銅を選択しなければ、思うような成果物を得られないリスクも考えられます。そうならないために、各種類の特徴をここでしっかり把握しておきましょう。
純銅
銅は大きく分けて「純銅」と「銅合金」に区別されます。純銅とはその名の通り、純度が99.9%以上となる銅を指します。余分な物質が混在していないため、高い導電率及び熱伝導率を誇り、銅線や電子機器材料の素材として使用されるのが強みです。
また、同じ純銅でも溶解中に金属内に残る酸素量によって、種類が異なります。ここからは、具体的にどのような種類あるのか、確認していきましょう。
無酸素銅
無酸素銅とは、純銅の中でも酸素をほとんど含まないタイプを指し、もっとも純度が高い点が特徴です。銅内に含まれる酸素の量は、わずか0.001%~0.005%程度。特に電子管で用いられる無酸素銅は純度99.99%以上となり、限りなく純銅に近いものとなります。こうした特徴から、無酸素銅は溶接やろう付けが必要な加工物に適していると言えるでしょう。
タフピッチ銅
タフピッチ銅とは、内部に微量の酸素が含まれている純銅であり、優れた導電性及び熱伝導性を備えているのが強みです。また、その他の銅タイプと比べて加工性も高い性質を誇っていることから、化学工業や器物、建築で使用される傾向にあります。一方で、内部に酸素がわずかではあるものの含まれていることから、高温下の環境には不向きです。600℃以上に加熱された場合、水素と反応することで表面に亀裂が生じる「水素脆化」のリスクが発生することもあります。こうした理由から、還元性ガスのある環境下での溶接などには不向きとなります。
脱酸銅
脱酸銅とは、水素脆性が懸念点となっているタフピッチ銅に脱酸処理が施された銅です。脱酸の際、「りん」を使用したものは「りん脱酸銅」となります。タフピッチ銅と比べて耐熱性が向上しており、溶接やロウ付けについても対応可能です。ただし、180~200℃で軟化する点は理解しておくべきでしょう。また、脱酸処理の影響から、タフピッチ銅と比べて導電性が低下している点も要注意です。
主な使用用途
【無酸素銅、タフピッチ銅】
・バスバー
・ガスケット
・リチウムイオン電池に使用されるタブリード電極
・パワーモジュールに使用されるベース板
・ヒートスプレッダー
・トランスに使用されるコイル材
・母線スパッタリングターゲット
【脱酸銅】
・水道
・給湯器
・建築素材
・空調配管材
・電気冷蔵庫
・ヒューズキャップ
銅合金
銅合金とは、銅に亜鉛や鉛、錫、アルミニウムなど、さまざまな物質を混ぜ合わせた金属です。組み合わせる金属によって強度などの性質が異なるため、それぞれの特徴については把握しておく必要があるでしょう。
ベリリウム銅
ベリリウム銅とは、銅に対して数パーセントのベリリウムが添加された銅合金です。銅合金の中でも強度はずば抜けており、その他にも導電性、疲労特性、耐熱性、耐食性において優れた性質を備えています。銅の持つ強みはそのままに、さまざまな性能をプラスさせたのがベリリウム銅のポイントと言えるでしょう。また、時効硬化処理前の「時効材」であれば、複雑な加工に対応できる性質も見逃せません。
クローム銅
クローム銅とは「クロム銅」とも呼ばれる銅合金であり、銅にクロムを0.4~1.2%程度添加しているのが特徴です。導電性が銅合金の中でも非常に高いため、溶接用電極材として使用されます。それ以外でも、クローム銅は熱伝導性・耐熱性・耐食性・硬度・耐磨耗性・耐疲労性が高い点もポイントです。こうした特徴により、高温度な環境であっても硬度や拡張力を維持し続けることが期待できます。
主な使用用途
【ベリリウム銅】
・コネクター
・スイッチ
・リレー
【クローム銅】
・シーム溶接用電極輪
・シーム溶接機の給電ブッシュ
・バッキングプレート
・ガスタービン、蒸気タービン用軸受の裏金
・鋼材連鋳用モールド
・銅線アニーリング用プーリー
・各種コネクター
・プローブカード補強板
・製鉄所内スカーフィングマシン関連部品
・電磁気分析装置ターゲット材
・各種抵抗溶接用電極材
真鍮
真鍮とは、銅に亜鉛を混ぜた銅合金です。真鍮は20%以上の亜鉛含有が条件として挙げられており、赤みがかった金属となります。強度やしなやかさを備えた金属として知られ、さまざまな形に加工できる強みは見逃せません。また、真鍮は細かく「丹銅」「黄銅」「快削黄銅」「ネーバル黄銅」などの種類に分かれ、加工性の高さなどが異なります。
主な使用用途
真鍮は高い加工性から、多くの用途に用いられます。ここではその中でも、主な使用用途を紹介します。
・インテリア用品
・装飾品
・文房具
・5円玉
・仏具
フラットバーで製作できる製品はコスパが◎
ここまで銅の各種類について説明しましたが、帯状の「フラットバー(銅帯)」に対応している銅についても紹介していきましょう。フラットバーの形状に対応している銅は、純銅の一種である「タフピッチ銅」もしくは銅合金の一種である「真鍮」です。また、海外製品であれば無酸素銅に対応しているケースもあります。
フラットバーで製作可能な製品はコストパフォーマンスに優れており、可能であれば取り入れたいところでしょう。もし銅のフラットバー加工を検討しているのであれば、おすすめは高い性能を誇るタフピッチ銅です。
「銅加工.com」を運営している株式会社ハタメタルワークスでは、タフピッチ銅のフラットバーを在庫で備えており、短納期にも対応しています。サイズについても多く取り揃えているため、ご利用の場合はお気軽にご相談ください。