【銅・銅合金のJIS規格完全ガイド】記号、成分、特徴を徹底解説!
銅および銅合金は、その優れた特性を生かし、古代から現代に至るまでさまざまな用途で使用されてきました。
私たちの生活にも密接に関わっている銅ですが、材質記号や規格については詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本工業規格(JIS)に基づく銅と銅合金の規格について、記号、成分、そしてその特徴を詳しく解説します。
JIS記号体系の基本構造と分類
JIS規格は、日本国内で使用される材料や製品の品質を保証するための基準です。この規格に基づくことで、製品の信頼性や安全性が確保されるため、製造業や建設業など多くの産業で活用されています。
銅のJIS規格は、「C1100」のようにCと4桁の数字を組み合わせて表されます。この記号は、銅の純度や性質を示しており、正しく理解することで、どのような材料が含まれているのかを知ることができます。
合金番号の構成
JIS記号は銅を表すC(第1位)から4桁の数字(第2位~第5位)で表記されます。それぞれの表記が示す意味を見てみましょう。
第1位に表記されるアルファベットによって合金の種類が特定できます。銅の場合は、銅を表すC(Copper)が使われます。
第2位の数字は、主要添加元素による合金系統を表します。添加されている元素によって、1~7まで、原則銅分の多い順に数字が振られ、C1000~C7000のように表記されます。
さらに、第3~5位は組成や用途を表す数字が続きます。
その後に付されているアルファベットは、銅の形状を示しており、ここの記号がPなら板状、Wは線状、Bは棒状であることが分かります。
主要な銅合金の分類
添加されている元素によってC1000~7000まで7つの合金系統があるとお話ししましたが、大きく分けると、以下の5種類の銅系に分けられます。
合金系 | 代表的な規格 | 主な特性 | 代表的な用途 |
---|---|---|---|
純銅系 |
C1020(無酸素銅) |
導電性◎ |
電気配線材料 |
黄銅系 (C2000~C4000番台) |
C2600(黄銅1種) C2680(黄銅2A種) C3601(快削黄銅) |
強度〇 加工性◎ めっき性◎ 経済性◎ |
電気部品 |
青銅系 (C5000番台) |
C5111(りん青銅) C5191(りん青銅) C5210(ばね用りん青銅) |
ばね性◎ 耐摩耗性◎ 耐疲労性◎ 耐食性〇 |
ばね材料 |
アルミニウム青銅系 (C6000番台) |
C6161(アルミ青銅) C6280(アルミ青銅) |
強度◎ 耐食性◎ 耐摩耗性◎ 耐海水性◎ |
船舶部品 化学工業用部品 ポンプ部品 熱交換器 |
白銅・洋白系 (C7000番台) |
C7060(白銅) C7150(白銅) C7521(白銅) |
耐食性◎ 強度〇 装飾性◎ 加工性〇 |
精密機器部品 装飾品 医療機器 電子部品 |
純銅系(C1000番台)
銅が99%以上で、導電性、熱伝導性が高く、柔らかく加工しやすいのが特徴です。一般配線用として広く使用されるタフピッチ銅(C1100)や、優れた高周波特性を生かし、電子機器に使用される無酸化銅(C1020)、耐食性と加工性のバランスが良好で、冷凍機用配管などに利用されるりん脱酸銅(C1201)などがあります。
黄銅系(C2000~C4000番台)
銅と亜鉛の合金で、真鍮とも呼ばれます。美しい光沢と展延性、絞り加工性があり、軽く、装飾性に優れているのが特徴です。黄銅1種(C2600)は強度と加工性、耐候性を活かして、建築金物や外装部材、ドアノブや手すりにも使用されます。
快削黄銅(C3601、C3602)は切削加工性に優れており、バルブやコック類など水回り部品にも適しています。
青銅系(C5000番台)
青銅とは、銅にすずを加えたものです。銅より硬く、展延性、耐疲労性、耐食性に優れています。りん青銅(C5210)は優れた弾性特性と電気的特性を持ち、電気接点ばねにも使用されます。応力緩和特性が良好で、長期使用でも性能を維持できる点も強みです。その他、10円玉や、歯車など古くから日常に多く活用されてきた金属の1つです。
アルミニウム青銅系(C6000番台)
青銅よりも硬さや強度が高く、軽量で腐食に強いのが特徴です。耐食性、耐海水性、耐摩耗性を備えているため、船舶部品や機械部品として使用されます。
白銅・洋白系(C7000番台)
白銅は、銅にニッケル、鉄、マンガンを添加したもので、耐食性、耐海水性が高く、高温化での使用も可能。海洋設備や化学装置に使用されます。
洋白は、銅にすず、ニッケルを添加したもので、光沢が美しく、展延性、耐疲労性、耐食性に優れています。電子機器、医療機器、装飾品など幅広く使用される合金です。
質別記号
質別記号とは、合金がどのような加工を経て製造されたのかを表すアルファベットです。
焼なましたもので、質別のなかでも最も柔らかい製品はO、加工硬化した製品はH、製造のままの状態のものはF、引っ張り強さが最大になるように熱処理を行った製品はSHと記号が付されます。
製造の過程は、金属の性質に影響を与える重要な要素。銅加工を検討する時には質別記号についても合わせて見ておきましょう。
まとめ
銅および銅合金のJIS規格について理解することで、適切な材料選定が可能となります。品質の高い製品を作り出すためには、各規格の記号や成分、特徴を把握し、用途に応じた最適な素材を選ぶことが重要です。
銅加工の専門家である「ハタメタルワークス」は、銅と銅合金の持つ多様な特性を最大限に活用し、信頼性の高い製品を提供します。銅加工をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
監修者情報
代表取締役 畑 敬三
株式会社ハタメタルワークスは、産業用電池や車輌機器向けの「銅加工」を専門とし、昭和10年の創業以来「誠実な対応」と「確かな製品」で信頼を築いてきました。迅速な対応により最短翌日納品が可能で、小ロットにも対応します。「小さな一流企業」を目指し、「銅加工ならハタメタルワークス」と評価されるまで成長。今後も独自の価値を提供し続けます。
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