区別できている?銅(カッパー)と青銅(ブロンズ)の違い
こんにちは、「銅加工.com」を運営する畑鉄工株式会社、代表の畑です。
銅は普段使用する調理器具や電子機器の部品などに用いられており、比較的身近な金属と言えるでしょう。しかし、大半の方は「銅」という金属の正確な範囲を理解していないかもしれません。というのも、「銅」と「青銅」の違いを認識しておらず、混同してしまっている方もいるのではないでしょうか。一例として、「Bronze(ブロンズ)」は青銅の英訳ですが、ブロンズ=銅だと考えている方も多いはずです。
今回は、銅と青銅の違いについて紹介し、それぞれの特徴についても解説します。
銅の英語は「Bronze」ではなく「Copper」
冒頭でも触れた通り、銅の英語を「Bronze」だと勘違いしている方は少なくないでしょう。「銅像」の英訳は「Bronze Statue」であり、オリンピックの銅メダルは「Bronze Medal」であるため、混同する方がいても無理はありません。
しかし、実際の銅の英語は「Bronze」ではなく「Copper(カッパー)」です。たとえば、「銅製の針金」は英語で「A copper wire」、「銅製の板」は英語で「A plate made out of copper」となります。銅について英語で会話する機会は多くないかもしれませんが、正しい知識として把握しておくことをおすすめします。
銅と青銅のそれぞれの特徴とは
銅と青銅と分けられていることからも、それぞれの金属としての特徴や性質は異なります。混同している方は、まずは銅と青銅の違いを正しく理解しましょう。
銅の特徴
銅は金属の中でも加工性に優れており、形を変化させやすい点が特徴です。この加工性の高さを活かし、銅線、銅板、銅管などさまざまな製品に活用されています。また、金属の中でも寿命が長く、長期間の使用が想定されるバルブや歯車に用いることができる点も大きな魅力でしょう。
金属は全般的に熱や電気を通しやすい性質を持っていますが、その中でも銅は高い熱伝導率と導電性を備えています。この特性を活かし、料理器具はもちろん熱交換器や電子機器の材料に使用されており、現在のエアコンやパソコン製造において欠かせない役割を果たしています。
そのほか、銅は殺菌性能も高く、新型コロナウイルスが蔓延した2020年にはウイルスの不活性化を期待した銅製のマスクが注目を集めました。
青銅の特徴
一方の青銅は、銅と錫、亜鉛、鉛の四元素を主体としている銅合金です。青銅色というと緑青色を連想する方が多いかもしれませんが、実際の青銅には光沢があります。しかし、その光沢も経年による変化で10円玉に代表される赤銅色、黄金色、黄白色、白銀色と移り変わります。緑青色になる原因は金属の表面に付着するサビであり、青銅本体の色ではありません。
青銅には、「すず青銅」「りん青銅」「アルミニウム青銅」などの種類があり、それぞれ特性が異なります。
すず青銅
展延性に優れた青銅です。銅の中でも材質が硬い点が特徴であり、型打加工などにも対応できます。
りん青銅
弾性、耐摩耗性、耐疲労性などに優れた青銅です。こうした特性を活かし、バネや歯車などに用いられます。すず青銅に比べ、機械に用いられやすい青銅と言えるでしょう。
アルミニウム青銅
青銅の中でも高い耐性を持つ金属であり、特に耐海水性に優れています。そのため、船舶部品に使用されている点が特徴です。
銅と青銅ではどちらの価値が高い?
銅(純銅)と青銅ではどちらの価値が高いか、気になる方もいるでしょう。金属の価値は社会情勢などにより変動しますが、銅の方が高値で取引をされる傾向にあります。たとえば、スクラップ業者が銅を買い取る際は、銅をインゴット(鋳塊)に加工する手間がどれだけ少ないかが重視されます。
そのため、銅合金よりも加工がしやすい純銅の方が、買い取り金額は高くなる傾向にあるのです。また、青銅の表面にサビが生じ緑青色になっている場合は、価格が下落する傾向にあります。
五輪の銅メダルはなぜブロンズ?
銅と聞いて、多くの方が真っ先に五輪の銅メダルを連想したかもしれません。しかし、冒頭で紹介したように、銅メダルは「カッパーメダル」ではなく「ブロンズメダル」です。その理由は明快であり、銅メダルの多くは銅ではなく青銅で作られています。ただし、金メダルや銀メダルとは異なり、銅メダルには明確な規定がありません。
そのため、銅メダルは銅に少量の銀が混ぜられた合金が使用されたり、銀メダルに真鍮のメッキ加工が施されたものが使用されたりと、さまざまな製造方法が存在します。いずれにしても純銅が銅メダルに使用されるケースは極めて稀です。日本では「銅メダル」という表現が当たり前のように使われていますが、金属の性質を正しく紐解くと、それが正しい使われ方ではないことはおわかりでしょう。
まとめ
今回は、銅と青銅の違いやそれぞれの特徴について紹介しました。銅は加工性に優れた金属であり、さまざまな部品への加工が可能です。ただし、できる限り高品質な加工品を希望するのであれば、依頼を出す業者について慎重に選定する必要があるでしょう。
「銅加工.com」を運営している畑鉄工株式会社では、昭和10年の創業以来、銅加工に特化した加工依頼を受け続けてきました。あらゆる加工方法に対応可能であり、質の高い製品を実現いたしますので、もし銅加工の依頼を検討しているならば、畑鉄工株式会社までご相談ください。