【アルミリサイクル】の利点と環境保護への貢献
金属の中でも銅は、人類にとって古くから加工して活用してきた金属です。銅加工の技術は、長い歴史を経て大きく発達してきました。
一方、アルミニウムも人類にとってとても身近な金属ですが、実は工業的な利用が始まってからまだ130年ほどしか経っていない若い金属です。
しかし、「軽い」「強い」「さびにくい」といった特性により、広い分野で注目されています。さらに、融点が低いため、使用後の製品を溶かして再生することも可能。銅加工で培った技術が、アルミニウムの加工にも活きています。地球環境にやさしく、幅広い分野で活躍するアルミニウムについて、詳しくみていきましょう。
アルミニウムの利点
多様な特性
アルミニウムは、様々な元素を添加してアルミ合金にすることで、強度や導電性、加工性などの多様な特性を発現させることが可能です。
・銅、マグネシウムを添加
耐食性は劣りますが、高強度になるため航空機材などの構造材に用いられます。さらに亜鉛を加えることで、最高強度のアルミ合金となります。
・マンガン、マグネシウムを添加
強度と成形性のバランスが良くなるので、アルミ缶や建材に適します。
・シリコンを添加
耐摩耗性に優れるので、ピストンなどに最適。
・マグネシウム、シリコンを添加
強度と耐食性に優れる代表的な構造材になるので、アルミサッシや輸送機材などに幅広く利用されます。
資源の持続性
埋蔵量
アルミは、資源量では鉄に劣りますが、需要量に対する埋蔵量は鉄を上回り最も多い金属。採掘も容易で、今後多くの金属が需要量に対して十分な量を確保できなくなるといわれている中で、2050年までは需要を満たせることもわかっています。そのため、ベースメタルの一つとして様々な用途で活躍することが期待されています。
リサイクルのしやすさ
高品質
アルミニウムは他の金属と比較して酸化しにくく融点も低いため、再生が簡単な金属です。また、再生したアルミニウムは新地金とほとんど変わらない品質で製造できるため、循環性に優れています。
リサイクルコスト
リサイクルされているものとして、アルミ缶の他にスチール缶やガラス瓶、PETボトルなどがよく挙げられます。しかし、アルミ缶は他のものと比べて、リサイクルコストが突出して安価です。
もちろん、他と同様に容器の回収費用や分別費などがかかりますが、それでもアルミニウムをリサイクルすることにより利益が発生している自治体が多くあります。
リサイクル効率
アルミニウムを鉱物から生産するには、当然のことながらその過程で大量の電力を使います。
ところが、アルミニウムを溶かして再度アルミニウムを生産する時には、原料から生産するときと比べて、わずか5%の電力で生産が可能。鉄鋼では約40%、銅でも約16%の電力がかかりますから、いかにアルミニウムのリサイクル効率が良いかがわかるでしょう。
環境保護への貢献
軽量化による省エネ
アルミニウムは「軽い」金属であることから、輸送分野で注目されています。自動車や鉄道車両、さらに航空機では、軽量化はそのまま省エネルギーに直結。CO2の排出を減らすことができ、環境保護に大きく役立っています。
熱効率による省エネ
熱が伝わりやすい特性を持つアルミニウム。熱効率が高いため、少ない部品で熱を伝えることができて製品の小型化を促進。エレクトロニクスや熱交換器など、様々なところで使われて省エネに貢献しています。
アルミニウムの未来
環境保護についてしっかりと取り組んでいかなければならない今、アルミニウムは注目を浴びている金属です。SDGsにも「天然資源の持続的な管理と効率的な使用」が掲げられており、アルミニウムはまさにその優等生。今後、さらに活躍の場を広げていく金属といえるでしょう。
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