【銅の使い方】未来の暮らしを考える

【銅の使い方】未来の暮らしを考える

銅は、人類が一番古くから活用してきた金属です。紀元前8800年より前には使われていたとも言われるほど、人類にとっては身近な存在。日本では、発掘された銅鉾や銅鐸から弥生時代にはすでに銅が使われていたことがわかっています。

銅加工がいかに人類にとって有益なのか、その種類と優れた特性について解説していきましょう。

銅の種類

銅には2種類の合金があり混同されがちですが、性質や用途が異なります。

特徴

真鍮(黄銅)

銅と亜鉛で構成されています。青銅よりも鋳造が容易。ぶつかっても火花がでないので、火気厳禁の場所で使用する工具へも最適です。

青銅

銅とすずで構成されています。光沢や表面の色味が経年により変化。空気に触れることにより保護層を形成し、腐食しにくくなります。

銅の優れた特性

加工性

日用品やデバイスなどで活躍

よく伸びる特性のことを「延性」、薄く広がる特性のことを「展性」といいます。

銅は、この優れた2つの特性により、簡単に加工することが可能。日用品や装飾品だけでなく、細かい加工が必要な仏像などにも使われています。

また、銅はあらゆる形状に加工できることから、屋根材としても活用。

緑青など独特の色調変化がある銅は、その重厚感で人々を魅了しています。

今後は

近年は小型のデバイス類が多く使われるようになったため、半導体の微細化にも対応できる加工性に優れている銅は、需要が高まっています。

さらに炭素鋼や特殊鋼にも負けない強度をもつ銅合金は、精密機器の小型化を後押ししています。

導電性

電線やモーター類で活躍

銅の伝導性の高さは、銀に次いで2番目。

この優秀な導電性により電線の小径化もしやすく、送電線や電気配線、発電機など実に様々なところで銅が活躍しています。

今後は

地球温暖化が進む中、防止策として電気自動車の普及が進められています。ここでも銅は、車内で使われる配線などに使用され、電気自動車における銅の使用量はガソリン車に比べて3倍以上。今後の電気自動車の普及に大切な役割を担っています。

他にも、通信分野では各種ケーブル類に、半導体分野ではコネクタや半導体のリードフレームなどで大活躍。これからのデジタル社会ではさらになくてはならない金属となるでしょう。

熱伝導性

調理器具やエアコンなどで活躍

熱がすばやく均一に伝わることを利用して、調理器具にも多く使われています。

鉄の5倍の伝導率なので、弱火でも同じ温度を均等に保ちやすく、しかも一度温めると冷めにくいため、調理器具としてもとても優れています。

今後は

エアコンや空気清浄機、冷蔵庫などに搭載されている熱交換器には、銅が不可欠。実に多くの電気製品に使用されており、今後もますます開発されていく多くの製品に搭載されるでしょう。

抗菌性

病院をはじめとして様々な場所で活躍

新型コロナウイルスの感染拡大の時に、「抗菌金属」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。この抗菌金属の代表ともいえるのが、銅と銀。病院などの多くの施設で、抗菌効果を利用して、手すりやドアノブに銅が使用されています。

今後は

銅の表面でできる銅イオンは活性酸素を発生させ、細菌を死滅させたり増殖を抑えたりする効果がわかっています。さらに抗ウイルス性に関しても研究がすすめられているので、この特性を利用した製品の開発が期待できるでしょう。

銅は、未来の暮らしに不可欠!

各地で地球温暖化を食い止めようと、「脱炭素社会」を作る動きが活発になっています。

車はガソリン車から電気自動車へ、電力は風力や太陽光を利用といった流れの中で、とても大切な役割を担っているのが「銅」。脱炭素社会には欠かせない存在です。

生活に必要なエネルギーから身近な家電製品まで、これからますます銅の需要と銅加工の必要性は高まっていくでしょう。

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