意外と知らない?ステンレスの歴史と発展について詳しく解説!
ステンレスって?
ステンレスは、鉄にクロムやニッケルを加えて作られた合金鋼で、「炭素が1.2%以下で、クロムを10.5%以上含む合金鋼」と定義されています。
腐食や錆に強いのが特長で、私たちの身の回りでも、スプーンやフォーク、携帯電話やパソコンなど、もはやステンレス製品を見ない日はないと言うほど多くのものに利用されています。
紀元前から利用されてきた鉄と比べて、ステンレスは発明されてからまだ100年ほどしか経っていない新しい金属であり、これからも進化していく素材として期待されています。
ステンレスってどういう意味?
ステンレスは英語で「stainless steel(ステインレススチール)」と表現され、「染みない鋼」または「錆びない鋼」を意味します。日本語では、この「stainless steel」を「ステンレス」と呼んでいるのです。どちらの表現も間違いではありません。しかし、日本では「ステンレス」という用語が一般的に広く用いられているため、公式な文書や製品の説明などでは「ステンレス」を使用するのが適切でしょう。
ステンレスの歴史
ステンレスの歴史は、1761年のクロムの発見にさかのぼります。フランスの研究者ルイ・二コラ・ヴォ―クランがシベリアの鉱山でクロムを発見し、イギリスの科学者マイケル・ファラデーが鋼にクロムを含有したことから本格的な研究が始まりました。その後、1910年代にステンレスが実用化されるまで、フランス、ドイツ、イギリスなどの多くの研究者によって研究や実験が進められました。ステンレスは、世界各地の研究者が試行錯誤を繰り返した末にようやく生まれた金属なのです。ステンレスが実用化されてからは、その耐食性や強度などの特性を活かして日用品や機械産業、医療機器など様々な分野で利用され続けています。
ステンレスの発展
開発当初、ステンレスは硬度が高いため薄くして製品化するのが難しい現状がありました。また、熱伝導率が低く加工時に熱を逃がさないため工具に負担がかかってしまうのも問題でした。しかし、1931年に直径の小さいロールで鋼板との接触面積を少なくし、1点に圧力を集中させるゼンジマー圧延機が開発されたことでステンレスの薄型化に成功。
これにより一気にステンレス製品が身近なものとなり、キッチンシンクや食器の他、自動車やバイク、建築物、医療機器、航空機など、あらゆる分野でステンレスが使われるようになりました。
ステンレスの特長
ステンレスは、あらゆる分野で活躍する耐食性や強度に優れた合金です。ここからは、ステンレスの特長についてご紹介します。
錆びにくい
ステンレスは、ステインレスの名前の通り、錆びにくいのが最大の特長です。一般的に錆とは、金属の表面が酸素や水分に触れて化学反応を起こすことで発生します。昔から人々に利用されてきた鉄は、錆びやすいのが弱点でしたが、ステンレスは鉄にクロムなどを混ぜることで、表面に不動態被膜と呼ばれる錆に強い膜を形成し、錆の発生を予防します。
この不動態被膜は、とても薄くて目には見えない膜ですが、非常に緻密で安定しており、自己修復機能を持つことが特徴です。何らかの理由で不動態被膜が破れても、鋼中のクロムが空気中の酸素と反応してただちに不動態被膜を再生します。これは、クロムが鉄よりも先に酸素と反応する性質によるもので、何度でも繰り返し自己修復機能を発揮することができます。
耐熱性・保温性がある
ステンレスは、500℃以上もの高温に耐える優れた耐熱性をもちます。また、ステンレスは熱伝導率が低く保温性に優れているため、水筒やポットの内側の素材として使用されることも多いです。
まとめ
今回は、私たちの生活に欠かせないステンレスについて解説しました。ステンレスは身近な金属ですが、その歴史や特徴について詳しくは知らないこともあったのではないでしょうか。
金属加工を行う際には、それぞれの金属の特長を把握し、最適な方法で加工することが大切です。
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